2級建築士受験講座講師のブログ

二級建築士試験受験講座で製図対策の講師をやっています。

2級建築士製図講座で記憶に残る生徒さん(4)

記憶に残る生徒さん(4)

 

講師を続けて25年。

ものすごくたくさんの生徒さんと接していました。

その中でも、印象深い生徒さんのことを少し書かせていただくシリーズ。

受験をされる皆様のヒントになることもあると思いご紹介です。

 

(4)昔ながらの、田舎のおうちみたいな間取りを作る生徒さん

 

講師を25年務めていますが、

その以前は戸建て住宅の設計関連業務を10年以上やっていまして。

その経験のおかげで、平面図を見ると立体的に空間が連想できます。

 

余談ですが、私の息子はクラシックの奏者で

絶対音感があり、楽譜を見ると音が読めるそうですが、

同じように建築士として経験を積んで空間が読めるという所です。

 

時には、インテリアの空気感や色合いまで感じる場合もあります。

 

その感覚で生徒さん方のプランを見ていると・・。

「あれ・・?」

不思議な生徒さんを発見しました。

作る間取りが、なんだかとっても良いのです。

最初は、偶然かなと思いましたが、毎回、ちょっと面白い。

空間の作り方が、まったりしているというか・・。

そこに、田舎暮らしのような時間軸を感じる。

 

同じ課題をやっていますから、要求されている部屋は同じです。

それでも、その生徒さんは課題の制限の中で良い間取りを作ってくるのです。

「本当に建ったら、いい住宅だろうな」と思わされてしまう間取りです。

20代前半の若い男子でした。

お仕事をお尋ねしましたが、それほどプランをする仕事でも無いようでした。

 

これって、「こういう才能がある」という事なのかなと思いました。

私には、その生徒さんの将来を見る力は無いのですが、

そのセンスに気が付いてくれる上司に出会って、

良い建築士さんになってくれることを願ってしまいます。

 

その方のつくる間取りは、毎回楽しかったのですが。

ひとりのかたに限らず良いプランを目にすることは珍しくありません。

 

そんな時には試験勉強で作られていることが、ちょっと残念です。

建つことが無いプランですので。

 

課題の条件さえ整えてあれば。

プランの良しあしが合否に関係することは無いとも言われてもいます。

 

とはいえ。

あまり試験として割り切りすぎてしまうと現実味が薄れてしまう事もあります。

やはり、現実の建物としても納得できるものを創る意識は持っていたいですね。

 

その生徒さんは今では立派な建築士になって。

きっと、その要素が生きた建築物を作っていらっしゃると思うのです。