2級建築士受験講座講師のブログ

二級建築士試験受験講座で製図対策の講師をやっています。

2級製図試験 分析11 評価の分かれ目はたぶんココ

2級製図試験 分析11 評価の分かれ目はたぶんココ

 

9月15日に行われた今年の課題の分析ですが。

あくまでも私個人の私的分析です。

分析連載の最後にその結果で作った解答案の掲載させていただきました。

(私の私的な単独プラン案です)

 

そして最終回です。

 

私が、強く思うのは、この2級建築士の製図試験は

建築士として、充分な知識と経験がある者が、技能の認定を受ける」

ための試験なのだろうと。

 

なので、審査をされるのは、以下の3つだと思うのです。

 

〇構造や計画面で建築物として、

納まり違和感や法規違反が無いこと。

 

〇住宅として、住みやすい、

事務所として使いやすい、当たり前が備わっていること。

 

〇出題条件や問題文に反していないこと。

 

それを少し具体的に表現します。

 

例年の基準として、こんなことが主に審査されてます。

(これは正式に公開されています)。

順不同です

  1. 構造に無理がない計画かどうか
  2. 断面構成、高さの計画が常識的か
  3. 図面の表現が要求条件にあっているか、全て完成しているか
  4. 図面相互に重大な不整合が起こっていないか(階段の不整合など)
  5. 延べ面積が要求範囲にあっているか
  6. 要求室が要求通りに計画され、欠落をしていないか
  7. 敷地の有効的な利用はできているか
  8. 全般的計画は建築士としての常識を逸脱していないか

 

そして、その年度の出題要素の審査です。

これは大概、2項目程度あります。

今年ならば、おそらくこの2つだと思います。

1、事務所および住宅の部分の、家事動線への配慮をした計画

2、既存樹木保存及び樹木を活かした配置計画と外構計画。

 

大事な事は、このプランだけが合格するみたいなものは無い。

それよりも、総合的に審査をされているっぽいこと。

 

結果の発表は12月です。

受験者のかたには、すごく不安な日々だと思います。

上手くいったと思うかたも不安があるでしょうし

失敗を含んでしまったかたは、とても不安だろうとお察しします。

でも、結果は出てみないと、わからないものですから。

 

おひとりでも多くのかたが合格できますように、お祈り申し上げます。

 

 

今回の連載内容はまとめブログでも再編集をする予定です。

今年度の試験は終了をしましたが、このブログでは、引き続き、

2級建築士製図試験について不定期で情報発信いたします。

 

 

最後におまけで2階の屋根伏せ図の形状イメージ

既存樹木の邪魔さを実感しました。

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追記ですが。私が所属している対策講座では、

ご希望の受験者さんには無料で試験のエスキースの評価、講評をしています。

期間は過ぎちゃったのですが、「ブログを見て送った」と書いていただいて、

メールやFAXで送っていただければ、まだ大丈夫です。

その際に私(オガタ)を指名いただければ直接のお答えも致します。

「講師の意見を聞きたい」ご希望のかたはご利用くださいませ。

 

kenchiku-juku.81552.com

 

 

 

 

今後のブログ展開の予定です。

2級建築士製図試験への独学受験への展望を書く予定です。

2級建築士試験の制度変更に伴うことを書く予定です。

2級製図試験 分析10 私が考える参考解答案

2級製図試験 分析10 私が考える参考解答案

 

9月15日に行われた今年の課題の分析ですが。

あくまでも私個人の私的分析です。

分析連載のまとめとして分析の結果で作った解答案の掲載させていただきます。

(私の私的単独案です)

 

これが最終回というとそうでは無くって。

この後、私が個人的に考える合否のポイントを載せたいと思います。

 

毎年、12月ごろには、主催元である「建築技術教育普及センター」が

模擬的標準プランを発表しますし、その際に評価の要点も公表します。

 

それまでの、閑話程度に読んでいただければ幸いです。

 

それと、プランはいろいろなものが有り得ます。

絶対的にこれだけが正解ということがありません。

事実、私の勤める講座でも、様々なプランが合格しています。

 

私が用意したプランはこちら。

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プランポイント

  1. 住宅玄関と事務所玄関のアプローチは分離
  2. バルコニーは既存樹木を眺めることの位置で、居間(B)に接続
  3. 脱衣室と家事室は連続させて2階に計画しバルコニーへの動線を速やかに
  4. 事務所の床高は500mmとし、住宅との動線を速やかに
  5. 事務所応接室は、事務所玄関の延長上に計画(多目的便所は、来客中でも応接室を通らなくても使用できる位置にあることが大事)

  

 

私が所属している講座では、ロングスロープの解答案を公開しています。

よろしければ、ぜひご覧ください。

2階のプランはほぼ一緒しています。

kenchiku-juku.81552.com

 

 

 

 

 

2級製図試験 分析9 外部スロープと車椅子への配慮(応接室)

2級製図試験 分析9 外部スロープと車椅子への配慮

(応接室、多目的便所への配慮)

 

9月15日に行われた今年の課題の分析ですが。

あくまでも私個人の私的分析です。

分析連載の最後(明日)に、その結果で作った解答案の掲載させてください。

(私の私的な単独案です)

 

分析の最後にスロープと車椅子への配慮の問題です。

 

じつは、このことが、内部も外構も、プランの分かれ目になる場合があります。

私としても、とても注目している要素です。

なので、最後の項目としました。

 

ポイントは要求室の下の枠の (注2) です。

「事務所部分の応接室及び多機能便所は

車椅子使用の来客も配慮する。」

 

この一行でどこまでを準備するかという事です。

駐車スペースは車椅子対応の、幅3500㎜を用意する上でのこと。

 

これまでも車椅子に関する課題は出題されていますが、

じつは、過去の車椅子課題と比較すると、今回は、かなり、ザツな表現なのです。

 

 

平成29年度でも、平成26年度でも

車いす用のスロープはや車椅子の回転用平場の大きさ

さらには、スロープ前後のスペースの大きさなど

車いす用のスロープの条件をしっかり出題で指示しています。

 

さらに、指示は建物内部にも及んでいます。

平成26年度では、建築物内部の玄関框部分も高低差も無くすことを指示。

平成29年度では、車いすのための段差解消あるいは対応のための広さを

玄関に有効数値で求めるなど具体的です。

 

それらと比較すると今年度は、具体性が無く、かなり消極的

 

車椅子利用者の来客があって突発的に必要になった場合に

無理なく対応できる範囲での配慮というイメージとも受け取れます。

 

(逆に上記の2つの年度の場合の設定は明確に日常的な車椅子でした。)

 

 

そうなると考えられる考慮の方法は大きく分けて3つです。

 

1つめは、木造の床の部分の高さ付近(480mm)まで

スロープで上げてしまう方法

これは平成29年度出題の方式です。

車いす対応は完璧ですが、長いスロープが必要になる難しさがあります。

当然スロープにも十分な幅や形状が必須です。

 

 

2つめは、玄関を広め(有効で15001500程度以上)にして、

玄関の段差を昇降可能な1段にする方法。 

「段差が無いほうが良い」ことはありますが、昇降の前後にスペースがあれば、

車いすは後方からバーを押し踏むサポートを受ければ

1段を上がることが機械機能的に可能です。

この方法は平成29年度の出題の考え方と同じと言えます。

未確定の来客を想定程度であれば、現実的な方法であるとも言えます。

ちなみに2段を上がる案は不成立です

スロープで玄関土間まで350mm前後まであがっておくことが必要です。

 

下のブログ様から、段差の持ち上げ例のイラストをお借りします。

車椅子介助の注意点を元機能訓練指導員が徹底解説! | | 暮らしのお悩み解決ブログ

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3つめは

玄関土間の延長上に応接室と多機能便所を作ってしまう事。

これは平成22年度の出題に発想が同じです。

玄関土間に接客スペースを計画し、玄関土間までのスロープを作ります。

(平成22年度では高齢の母親のお友達が来訪するイメージでした。)

この方法は気を付けて作らないと不用意に屋内段差が出来てしまいます。

内階段あたりで安全をうたっているのであれば、

日常動線での不用意な屋内段差はちょっとしたミスマッチにはなりそう。

また、便所が下足になるので、来客は良いのですが、

従業員の日常には少しわずらわしさがあるという点はあります。

 

私の勤務する講座では1つめの方法で解答案を作成しました。

必要な高さまでスロープで上げてしまう方法です。

しっかりとしたスロープ設計が必要ですが演習はしていましたので。

 

私の個人的解答案では3つめの方法を採用して作りました。

個人的に平成22年度のプランが好きで、

講座のトレーニング課題でも何回も採用していましたので。

 

 

 

それにしても、です。

ここを受験者の判断に任せるというのは、教えるという立場では、

今回の中で一番悩ましいと感じました。

出題で具体的に指示してもらいたかったという思いはあります。

ただ、逆にいうと、この部分での判断の分岐や選択の評価が

合否を分断する分岐点にはならないという意味でもあります。

選択した方法なりに成立していることが重要だと思います。

 

加筆で,もう一点。

応接室、トイレ部分の下足上足の件です。

事務所全体が上下足を明確には指定していない点もあります。

車椅子の上足、下足は、利用者によってさまざまな対応方法があります。

今回の出題ような出し方では、一般常識範囲での判断で良いと私は考えています。

 

明日は、独自の解答案を掲載させていただきます。

そして、その後自分なりに判定基準の要素を考察して行きたいと思います。

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2級製図試験 分析8 駐車の位置とアプローチ

2級製図試験 分析8 駐車の位置とアプローチ

 

9月15日に行われた今年の課題の分析ですが。

あくまでも私個人の私的分析です。

分析連載の最後にその結果で作った解答案の掲載させてください。

(私の私的単独案です)

 

さて、大きな問題として駐車スペースの作り方とアプローチの考え方ですが・・。

 

この試験問題では建物へのアプローチについてでている指示ではっきりしているのは

設計条件の

「事務所部分と住宅部分とは出入り口を明確に分離し・・」

という所。

 

あとは、スロープの要求の

「敷地内の通路の計画において高低差が生じる場合はスロープを設ける」

という所。

 

そして、駐車スペースは 来客用1台分、住宅用1台分

駐輪スペースは 来客用2台分 住宅用2台分

 

これだけの情報だと、玄関は当然明確に分けるものの

アプローチそのものを分離しろと言っているかは少しだけあいまいです。

 

子どものなぞなぞ問答ではないので、

こういう場合は建築物としてどうあるべきかで考えてみます。

 

動線を明確に分離する方が、使い勝手がはっきりする反面、

アプローチを分離することで敷地の中が通路だらけになる場合があり

宅建築物としての違和感も起こる可能性があります。

長いスロープが2本住宅の敷地内にある状況への違和感です。

 

私は、これは、出来上がった個々のプラン風景で、

流れや違和感の有無を判断されるのではないかと思っています。

 

納まりよく行くならぜひアプローチも分離したい。

でも、すごく不自然になるくらいなら無理に分離しなくていいのではないかしら。

 

ところで、駐車スペースの縦方向の1台の大きさは

コマ数で言うと6コマ5460mmを目安と考えますが、

実質最低必要寸法では有効で5000mmです。

 

この問題は、南北が16Mとかなり狭いので、5000mmを取る方がお薦めかもしれません。

 

二級建築士製図試験 分析7 屋内階段の蹴上の高さ

分析7 階段の蹴上

 

9月15日に行われた今年の課題の分析ですが。

あくまでも私個人の私的分析です。

分析連載の最後にその結果で作った解答案の掲載させてください。

(私の私的単独案です)

 

 

今回は屋内階段に条件がついていました。

これは、平成29年度に出題されたばかりのもの

当然、私も授業の中でやっています。

受験対策講座であれば、絶対に対策をしている要素です。

 

 

問題文は、以下の通り。

「住宅の階段は安全を確保するために以下の計画とする

蹴上の寸法を180mm以下、踏み面の寸法を225mm以上とする

踏面の寸法は、周り階段の場合、踏面の最も狭いほうの端から300mmの位置に置いて確保する」

 

階高は設計者に一任されていますので、段数はその階高によることになります。

階高は多くの場合は、かなり低くても2800mm

懐の納まりを考えると通常は3000mm前後くらいが多いと思います。

 

2800mmの階高で16段、3000mmの階高で17段が必要

踏み面にも大きさに制限がかかっていますから、

1820mmx1820mmの4コマ4コマの中に納めることは困難です。

回り階段の幅がとれないからです。

 

不成立の一例です。

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ちなみに29年度に主催元が公表した見本はこんな階段。

けっこう微妙な階段。

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さらに、安全のために・・というと、踊り場があるのが、国交(建設)省の推奨の形

見本の階段も平場があります。

階高で16段か17段かは変わるので注意ですが

条件にあった階段の例は、たとえばこんなかんじ。

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用意をした、私的モデルプランではこの中の17段の階段を採用しています。

 

二級製図試験分析6 洗面脱衣室や浴室が1階でも2階でも良い点

分析6 洗面脱衣室や浴室が1階でも2階でも良い点

 

 

9月15日に行われた今年の課題の分析ですが。

あくまでも私個人の私的分析です。

分析連載の最後にその結果で作った解答案の掲載させてください。

(私の私的単独案です)

  

 

 

今回の課題の特徴に、

洗面脱衣室、浴室、家事室が1階でも2階どちらでもでも良いというものがありました。

1級建築士では、設置階数を設計者に任せられる傾向ですが、

2級建築士では、設置階はほとんど出題で決まっています。

これは異例ですし、受験者も悩ましい。

 

2階のバルコニーが物干し用とするならば、基本は2階とも思いますが、

2階にしなければならないわけでもなさそうです。

 

洗面脱衣室、浴室、家事室が1階であったとしても

階段の位置をうまく配置して、全体としての動線を作ることもできます。

 

家事動線というのが設計の条件にあるので、この3室の配置の考え方が、

全体のプランの傾向を左右します。

 

もしも、浴室、洗面脱衣室、家事室を1階でプランをした場合

1階要素と、2階要素のボリュームバランスが変わります。

2階をまとめると一部平屋を作ることも視野に入ります。

 

しかしながら、それを選択した場合は、

1階のプランも2階のプランも難しくなってしまいます。

私も複数のプランを作ってトライしましたが、楽ではありませんでした。

伏せ図も一部難しくなります。

 

限られた時間内でのエスキースを考えると、

1階に浴室類を置くことを考えた場合は、プランが難しかったと思います。

 

というよりも、設置階を悩ませられて時間を消費させられてしまう事も

受験者のことを思うと厳しいことだったと思います。

 

私がトライした1階の浴室案を掲載させていただきます。

事務所が少し狭くなること以外は充分作れます。

もちろん、その利点として2階の形状を変形なしでまとめます。

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脱衣室と家事室は離れるのも難点ですが、それを全否定すると、

設置階指定が無い問題そのものの否定になってしまいます

応接室の配置の件は、この後の投稿で分析をしています。

よろしければ、ご覧ください。

 

 

 

 

2級製図試験 分析5 バルコニー

2級製図試験 分析5 バルコニー

 

9月15日に行われた今年の課題の分析ですが。

あくまでも私個人の私的分析です。

分析連載の最後にその結果で作った解答案の掲載させてください。

(私の私的単独案です)

 

今年はバルコニーの要求がありました。

 

これまで、私の知る限りでは、

木造構造でのバルコニーが要求されたことはありませんでした。

初めての出題です。

 

そろそろ、要求されるかもと予測をして、課題には取り入れていました。

やっといて良かったです。

 

注意ポイントは手摺の高さや、立面図や断面図に出た場合の表現

持ち出しでも、屋根上でも制限はない出題です。

下の図は演習した時の参考図の一例

手摺の高さは1100mm以上とる方が良いと思います。

構造や水仕舞いのためにサッシを上げてイメージするのが無難。

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屋根上は雨仕舞の問題がありますが、

よっぽど厳しい位置や形状で無ければ大丈夫でしょう。

持ち出しの場合は、持ち出し位置の状況によっては

胴差に持ち出しのための補強が必要な場合がありますが、

 そこは、影響は小さそうかな。

 

 

大きさは、奥行き910幅1820以上とは、ずいぶんと控えめ。

既存樹木とテラスで、南の庭は物干しスペースが無さそう。

家事動線を謳ってしまうとなると

要求のバルコニーが物干し用に思えてしまいます。

バルコニーが在ると無いとでは家事動線に影響があるという意味に見えてしまいます。

 

ただし、はっきりとは、そうは言っていないです。

 

私が作成した解答例のプランでは

既存樹木やテラスを望む南向きのバルコニーとしました。

居間(B)に直結しています

 

バルコニーの初出題も今年の課題のポイントのひとつになりそうですが、

自分なりに作れてしまえば良いので、悲観材料では無さそうと思うのです。