記憶に残る生徒さん(1)
講師を続けて25年。
ものすごくたくさんの生徒さんと接していました。
その中でも、印象深い生徒さんのことを少し書かせていただきますね。
噂話をしたいわけではありません。
そこに受験生皆さん共通の他人事ではないことがあると思うのです。
- 水彩画みたいな芸術的な図面の生徒さん。
二級建築士の受験生の講師を長くやっていますと、たびたび感じることがあります。
「この人は絵が上手そう」
絵と言ってもいろいろです。漫画だったり。
プチイラストみたいなものだったり。
日ごろ絵を書きなれていると、製図の時には少し得をします。
ちょっとしたところを、フリーでサクッと書けてしまうからです。
そうなのです。
二級建築士の製図試験は「定規を用いない事」が認められています。
つまり、製図台は使わずに全部をフリーハンドでも良いのです。
ですが、それはお勧めしていません。
全てをフリーできれいに書くことは、たいがいの場合、
定規を使って書くよりも はるかに時間がかかります。
フリーハンドで定規製図以上のきれいな図面を描く。
あえて「書く」ではなくて「描く」です。
25年間、延べ千人以上の生徒さんを見て来ていますが、
そういう生徒さんに出会ったのは一人だけ。
正直、ちょっと感動しました。
CADなどが無い古き良き時代の風情。
高名な建築家の多くは、フリーハンドの平面図を美しく書きました。
あわせて、イメージスケッチなども軽いタッチで書きました。
そういうスケッチ図は今も残っていますが、そういう図面。
今でも、とても印象に残っている図面でした。
美術大学系の建築学科を出られた受験生さんなのかもしれません。
ところで、試験対策的には「どうか?」という話です。
試験に向けては、フリーハンド画は、有利な事だけではありません。
やっぱり定規を使う製図のほうが早い部分は早いのです。
コンサルして、さっさと定規で引いちゃう部分とフリーハンドの部分。
両方を混在させることによって全部が定規の人よりも早い製図を体得されていました。
絵を書くことが得意でしたらば・・ですが。
定規で書く合間にうまくフリーハンド書きを織り交ぜることは、
スピードアップに有効なのです。
一概には言えませんが、長い線を引く場合は定規がきれいで速いです。
細かいところはフリーハンドできれいに書けると有利です。
普段から手書きをしていない場合は、まずは、定規で書いて行くことをお勧めします。